景品表示法を身近に考える

最終更新日 2024年3月29日 by byersp

景品表示法とは、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」と言います。
買い手ならだれもが良い商品を購入したいという気持ちがあります。
例えばダイエットをしたい方なら「100パーセント痩せる」と記載があれば、自分でも絶対に痩せるはずだと思って購入したくなるものでしょう。
ですが、実際には100人いたら100人が痩せられる筈はないのです。
100人に100パーセント効果のあるダイエット食品なら、今頃は売り切れ続出でSNSでは有名人から一般人までもが話題にし、通販サイトはサーバーダウンするほど受注が入ります。
呑気に通販番組で電話注文の受付なんかしている筈がありません。

不当な表示から消費者を守ろうという景品表示法

上記は極端な例ですが、実際の効果よりも効果の高い表示が行われていたり、懸賞などで行き過ぎた景品の提供が行われると、それにつられた買い手側が不利益を被ってしまう可能性が出てきます。
このような不当な表示から消費者を守ろうという法律が昭和37年に出来た景品表示法です。
不当な商品の効果から守るだけではなく、虚偽の成分表示やサービス品質の相違、価格を偽って表示することなどを厳しく規制している法律です。
聞き慣れない方もいるかもしれませんが、この法律は実際には私達の身近に存在しています。
誰もが買い手となる世の中で、正当に評価された商品やサービスが受けられるように作られたのがこの法律なのです。

景品表示法がなければ生活はどうなるのか?

もしもこの法律がなければ私達の生活はどうなってしまうのでしょうか。
わかりやすい例で、2020年、2021年と大流行したアニメの商品で考えてみます。
鬼を倒すアニメが大流行しましたが、この主人公や主人公の周りの人物達は普通の刀では倒せない、鬼を倒せる特殊な刀を使用しています。
そこで、利益目的だけで例えばどこかの企業が「主人公たちのように鬼を絶対に倒せる刀」を販売したと仮定してみて下さい。
銃刀法違反にも引っ掛かるので、今の日本でこのような表示をして刀を販売する業者はまずいません。
ですが、もし景品表示法がなかった場合には、現代に鬼がいない為実際に倒せるのかどうかすら分からないとしても、表示法違反にならない為、利益の目的だけで「鬼を倒せる刀」を販売するかもしれません。
もしもの仮定であり、現代の日本ではありえない謳い文句ですが、景品表示法のない世界で、ありえないとは言えないのです。

不当に表示をして違反をする事例が頻発

そして昭和37年からこの法律が定められていても、実際には不当に表示をして違反をする事例が頻発しています。
実際に起きた事例では、「沖縄県産の食材を使用した料理と謳いながら、本当は外国産の食材を使っていた」というような内容の事件も起きました。
食べる側からすれば、産地偽装をされるなんてなかなか考えませんし、日本の産地だから注文した料理で、このような虚偽の食材が出てきたらたまったものではありません。
表示法違反は食べ物や商品だけではないのです。
オンラインゲームのガチャガチャで「SSR(とてもレアなキャラクター)出現確率が1パーセント以上と記載されていたのに、実際には1パーセント以下だった、期間内にインターネットのサービスを申し込むと割引されると表示があったので申し込んだら、実際には期間終了後にも割引を実施していた、など事件は後を絶ちません。
上記はニュースで見聞きした事件ですが、自分の身近でも起こらないとは限りません。

実際に身近な人から聞いたお話

私が実際に身近な人から聞いたお話もご紹介します。
昨年、私は車を買い替える為に中古車の展示即売会を回っていました。
そのときにとある販売店の営業マンから聞いたお話です。
中古車フェアなどを回っていると「走行距離〇〇キロ」などという表示を必ず目にします。
その販売店の方が言うには、とある同業の中古車販売店は走行距離を偽装した車を販売していたそうです。
私達素人は走行距離はメーターの表示がすべてだと信じていますが、そのメーターを弄り、実際の走行距離よりも少ないメーター表示にして販売していたというのです。
そのような方法で販売されては、素人には気が付く手段もなく、実際に思っていたのとは違う質の悪い車を購入してしまう可能性が出てきます。
最悪、事故にもつながりかねません。
景品表示法が施行されてからもう何十年と経っている世の中で、このような悪質な事件が後を絶たないのが世の中です。
そして消費者が、いつ「提供する側」に回るとも限りません。
これまでは消費者目線で景品表示法について触れてきましたが、消費者だけではなく勿論売り手側も不当な表示をすることのないように注意が必要です。

まとめ

産地偽装や車のメーター偽装は明らかに故意に行われていると分かる事件ですが、自らが販売する側に回ったときに、法に触れる不当な表示をしないよう、気を付けなればいけません。
商品を販売するときは、既に類似品が存在する場合には参考程度に留め模倣、いわゆるパクリとならないような注意も必要です。
参考にしたつもりがほかの消費者の方からすれば「模倣」に見えるようであれば、その商品の販売は諦めるなど売り手に回る際にも気を付けていきましょう。