薬事法と医薬品のネット販売

薬事法と医薬品のネット販売

最終更新日 2024年4月30日 by byersp

医薬品のネット販売は認められていなかった

今では薬事法上、医薬品をネット販売することも認められていますので、多くの医薬品を手軽に注文し、自宅まで配送してもらえるようになりました。

以前は医薬品のネット販売は認められておらず、多くの商品がネット上で注文できるようになった後でもわざわざ自分の足で実際の店舗にまで出向かなければならなかったことを考えると大きな進歩です。

薬事法上、ネット購入ができる医薬品は、基本的にはドラッグストアなどの店舗で売られており医師の処方箋が不要な一般用医薬品です。

医師の処方箋が必要な医薬品は、ネット販売の解禁後も従来と同じく薬剤師から対面での説明を受けた上でないと入手できません。

もちろん処方箋なしで入手できないのは今も昔も変わりませんし、処方箋があったとしてもネットでは入手できないということです。

一方、医師の処方箋が不要な一般用医薬品は、基本的には全てネットで購入できます。

 

対面販売が可能な店舗を持っていることがネット販売の前提

ただし条件があり、無制限にネット販売が認められているわけではありません。

薬事法上はやはり対面販売が基本と考えられており、まずは対面販売が可能な店舗を持っていることがネット販売の前提になっています。

医薬品のネット販売だけに特化した会社というのは認められないわけです。

あくまでも街中に薬局や薬店、ドラッグストアなどと名前のつく店舗を有している会社が、消費者の利便性のためにネット販売も行うという形式を取ることが必要というわけです。

この店舗は形式的なものであってはならず、例えばその広さ、照明の明るさ、営業時間などの規定があるほか、消費者が入店しやすい構造であることとか、そこで実際に貯蔵、陳列されている医薬品についてネット販売できるという規定まであります。

形だけこれは店舗であると言い張っても駄目だということです。

店舗を有することの他、必要な知識を持っている専門家が関与していることも条件とされています。

 

専門家の氏名や連絡先の電話番号を明示しなければならない

この人が営業時間内は店舗に常駐していることや、消費者から見て分かりやすいように名札を付けていることなども規定されています。

そして、ネット販売する際にはその専門家の氏名や連絡先の電話番号を明示しなければなりません。

なお、専門家とは基本的には薬剤師が想定されていますが、第二類医薬品と第三類医薬品の場合は登録販売者でも構わないとされています。

このように、実際に店舗を有し、また薬剤師などの専門家を確保している会社が、店舗での医薬品販売だけでなくネット販売も行って構わないというのが趣旨です。

言い換えれば、消費者はたとえネットで医薬品を購入した場合であっても必要に応じて薬剤師などに電話ですぐに相談できますし、地理的に可能であれば実際の店舗にまで出かけて行って直接相談することも可能な体制が整っているということになります。

なお、一般用医薬品は基本的に全てネット購入が可能ですが、実はこれはドラッグストアで自由に購入できる医薬品の全てではないことに注意が必要です。

参考・・・薬事法ドットコム

医療用医薬品は処方箋が必要ですからそもそもこの話の範囲外ですが、医療用医薬品と一般用医薬品との間に要指導医薬品と呼ばれる分類が新しく設けられたためです。

 

要指導医薬品とは

この要指導医薬品は、ドラッグストアで処方箋なしで購入することは可能ですが、ネットで購入することは認められていません。

薬剤師による対面での指導が必須とされているためです。

具体的にどんな医薬品が該当するのかと言えば、処方箋の必要な医療用医薬品から処方箋不要の医薬品にスイッチされた直後の品目がこれに該当します。

医療用医薬品はいつまでも医療用であり続けるとは決まっておらず、医療用として使われる中で、この薬は比較的安全性も高いし、また患者自身によるセルフメディケーションも十分に可能と思われ、かつその需要も高いと判断されたものは、処方箋不要の医薬品としても発売されることがあります。

従来であればこのような一般用医薬品は第一類に分類されていたのですが、薬事法の改正に伴ってまずは要指導医薬品として分類されることになり、ここに分類されている間は対面販売が必須とされることになります。

ただしこの分類もいつまでも継続されるわけではなく、3年を目安として一般用医薬品に再分類され、その後はネットでも購入することができるようになっています。

処方箋の必要な医薬品とそうでない医薬品とでは使われ方も異なりますから、3年という期間中に何か問題がないかどうかを確認するということで、問題がないと判断されれば要指導医薬品から一般用医薬品に分類が変更されることになっているのです。

要するに、これまで医療用医薬品であったものが処方箋不要とされた後の3年間は、その栗はネットで購入することはできませんが、それ以外の医薬品で処方箋不要のものは、全てインターネットを利用して購入することが可能になっているということです。

もちろん、添付文書をよく読んで適切に使うなど、患者としての責任がより一層求められていることは言うまでもありません。