メンタルヘルスケアに強い産業医を採用することが企業の使命

最終更新日 2024年3月29日 by byersp

人間関係などが複雑にからみあったこの現代社会の中にあって、個人の健康維持などもかなり難しくなってきたことから、各企業内において産業医の役割はますます大きくなっていると言えるでしょう。
最近ではよく耳にすることが多くなってきた職業ですが、この職業はいったいどんなことをする人なのでしょうか。
名前から察すれば医師であることは間違いないのですが、普通の医師とはやはり違います。

 

産業に関わる医師とは

産業に関わる医師とは、各企業内でそこに従事する従業員たちに対して医療面で対応する専門医のことです。
しかし、医師であっても職場内での医療行為を行うことはなく、なにか問題がある従業員に対して適切なアドバイスや相談に乗るという業務が主な業務なります。
そして、そのような問題を抱える従業員に関してあまりにも症状が重いと判断したときには、企業側に対して必要な勧告を行うこともできつのです。

前述したようにこの現代社会では心に深いダメージを負ったりして、精神的に重大な病を発症してしまうというケースは非常に多いです。
特に職場という環境ではその傾向はもっとも甚だしいと言えるでしょう。
たとえば上司や同僚などとの人間関係の問題でうつ状態になってしまうという例もけっして珍しいことではありません。
精神的な病は完治させることはとても難しいです。
ですからこうしたことが絶対に起きないように、各企業側でも最善の備えが必要になってきます。

この産業に関わる医師は、いったいどのような体制で企業に関わっているのでしょうか。
実は職場内の従業員たちはその名前は知っていても、実際にはどこでなにをしている医師なのかを詳しく理解している人は少ないのが現状です。
年に何回か行われるストレスチェックなどがありますが、その結果を見ると専門医による診断が必要などと書かれている場合があります。
こうしたときにその存在を知ることがある程度ではないでしょうか。

 

専門医は各企業によって配置する人数も異なる

専門医は各企業によって配置する人数も異なります。
業種業態に関わらず、そこで従事する労働者が50人以上いるとき、専門医は一人以上選任しなければならないことになっているのです。
産業医が実際に行う業務をもう少し詳しく述べるなら、大概、三つの業務に分けることができます。
一つはその企業での業務に起因した健康障害や労働災害を未然に防ぐことです。
これは職場環境や作業内容などに対してアドバイスなどを行ったりします。

また、今は各企業では障害を抱える従業員も働いている場合が多いです。
そういう人たちに対して産業医は職場の環境や就労上のさまざまな問題点を指摘したり助言します。
身体に障害を抱える従業員は当然のことですが他の健常者である従業員と同じ業務を行うことは難しいです。
こうした配慮をすることも実は企業側の責任であり使命だと言えます。
単純に産業医を入れているから大丈夫だというのではなく、その実情に触れることも必要なのです。

 

過酷な労働条件や労働環境から従業員を保護する

もう一つ大切な業務があります。
それは過酷な労働条件や労働環境から従業員を保護するというものです。
これは業種によってさまざまですが、たとえば人体に直に影響を及ばしてしまうような職場も確かにあります。
化学物質を扱うような職場や粉塵の激しい空間で作業を行わなければならないような仕事、このような環境で働かなければならない仕事も本当に多いです。
産業医の仕事はこうした健康上で不利な諸条件から労働者を守ることも重要な業務になります。

それでは実際に産業に関わる専門医になるための資格というものはどんなものなのでしょうか。
専門医であるから医師だけが担当するものというわけでは必ずしもありません。
先に述べたような企業内で行われるストレスチェックというものがあります。
このストレスチェック制度で各従業員のストレスをチェックし問診するためには有資格者が必要です。
その有資格者とはいったいどんな人たちなのでしょうか。
結論から言ってしまえば、それは医師、保健師、それからストレスチェック研修を受けた看護師や精神保健福祉士になります。
このような資格者が企業内で従業員たちの健康などをサポートしているわけです。

 

従業員たちのメンタルヘルスケアにおける重要性が問われるようになってきた

少し前までの産業に関わる専門医の役割というものは、ただ労働者の健康管理を担当する医師という位置づけでした。
しかし、時代は移り、この現代社会では心を患ってしまう人も多く、その対処が遅れてしまうというケースもあります。
こうした事情から産業にかかわる専門医の役割も変化し、従業員たちのメンタルヘルスケアにおける重要性が問われるようになってきたのです。
現代で多い心の病はやはりうつ病でしょう。
うつ病になってしまった従業員に対するケアは専門医に任せるしかありません。

この現代社会の中ではうつ病や適応障害といった心の病気を発症する人も急激に増えています。
各企業側はそのメンタルヘルスケアに力を入れ、専門的な知識を有する専門医を配置することが求められる時代となりました。
このようなメンタルヘルスケアに強い産業医を見つけ出し、企業内に配置することが企業の大切な役割だと言えるでしょう。

 

出典元:ワーカーズドクターズ